Case study

新人には「自律性」を
培って欲しい

日本通運株式会社様

物流事業全般 及び関連事業

http://www.nittsu.co.jp/

日本通運株式会社

入社前研修のメインテーマは「約1年後の自分をどう描くか」

社会を経験したことのない学生にとって、入社以降のことはとても不安に感じるものだ。内定した企業に上手く馴染む事ができるか、自分がやりたい仕事ができるか、もっと適した職場がないか等、悩みが尽きることはない。

この不安を少しでも解消すべく、一部の企業が実施しているのが内定者フォロー施策である。今回お話を伺った日本通運株式会社の海運事業支店事業統括部では、海運事業部門の内定を受諾した学生を対象に、1対1の面談や現場見学、各現場の仕事を紹介する内定者研修会を行っている。

「採用活動を経て、学生の皆さんは企業に対する憧れの部分を少なからず持っていると思うのですが、それだけではなく、よりリアルに働くイメージを持ってもらうために、入社までの期間にも弊社の仕事について理解してもらうための機会を設けています。」

そう話すのは、2014年より海運事業部門の人事・採用を統括されている宮本様。日本通運株式会社とトライアンフは2007年からのお付き合いで、採用施策に関する部分から入社前後のフォローまで、複数の領域でお手伝いをしてきた。宮本様ご自身も、現職でのお付き合いが始まる前、面接官を初めてご経験された際に当社の面接官トレーニングをご受講頂いたことがあるという。

新卒採用のプロセスだけでは、学生が働くイメージを具体的に持つことは難しい。面談や研修など、様々な機会を用意し、入社前に少しでも仕事の理解を深めることは、内定フォローの大きな目的の一つだ。

またそれとは別に、海運事業部門の新入社員は、入社前日にトライアンフが企画・実施する「入社前研修」に参加する。入社前研修では、会社の理念・ミッション・ビジョンや就職活動時の想いを振り返ったり、学生と社会人の違いについて先輩社員の話を聞いたり、チーム別に10ヶ月後の行動目標を設定・宣言したりするコンテンツが盛り込まれている。新入社員として持つべき心構えや目標を明確にすることが目的の研修である。

「入社前研修では『約1年後の自分をどう描くか』というテーマでコンテンツを設計いただいております。内容としては、社会人になるということに関するレクチャーですね。入社して以降、ただ漠然と仕事をやるのではなく、1年後の自分を意識して取り組んでほしいと思っています。」

この入社前研修は、約10ヵ月後に実施されるフォローアップ研修とセットで企画されたものである。フォローアップ研修では、入社前研修で設定した行動目標に対して振り返りを行い、できたこと・できなかったことをレビューするほか、2年目にふさわしい仕事の進め方を学んだり、役員の方にご登壇いただき講演いただいたりするコンテンツが盛り込まれている。これまでの成長と今後の課題を整理しつつ、仕事のレベルを向上させるための「問題解決」の視点を獲得させることが狙いだ。

敢えて入社前からこのような研修を実施している意図について、宮本様はこう語った。

「入社後も配属されるまでの2~3週間は新入社員研修が用意されているのですが、これは他の部門と合同で行われるもので、就業規則やコンプライアンス等、全社に共通するものです。そのため、海運事業部門だけが独立して行う入社前の研修では、社会人としての『意識』を学んでもらう意図でお願いしていますね。」

一番重要なのは、任せる勇気を持っているかどうか

研修期間を終え、現場に配属されて以降の育成はOJTが基本となる。その際、宮本様が育成ポリシーとして特に大切にされているのは「自律性」だという。

「言葉としてはありきたりですが、自律性はとても重要ですね。自分で考えて自分が取り組むという姿勢、これを培って欲しいと思っています。
育成は、基本的には現場のトップの裁量で、ミスするかもしれないがまずやらせてみようか、という具合で進めています。仕事の進め方は、そのやりとりの積み重ねで身についていくものだと思っているんです。一番重要なのは、任せる勇気を持っているかどうかではないでしょうか。
その点では、昔だと、誰かがミスをしても『まあ仕方ない』で済んでいたこともありましたが、今は一つの小さなミスが大事になることもあり、世の中が変化する中で任せることが難しくなりつつあるように思います。」

難しさがありながらも、勇気をもって任せ、自律性を培う育成を行えるのは、会社におけるひとつの文化といえるかも知れない。

また、普段の仕事を通じた育成以外にも、若手社員が自律性を培うための機会が用意されている。そのひとつが、1年間海外現地法人で勤務する研修プログラムである。

「海運事業部門だけではなく全社で取り組んでいますが、グローバルな人材を育成する意図で実施しているものです。男性も女性も随分逞しくなって戻ってきますよ。海外でしかできない経験もたくさん積んでくるのだと思います。」

時代の変化と共に

時代の変化に伴い、入社する新人のタイプも変わっていく。宮本様と共に採用・人事をご担当されている松浦様は、最近の新人についてこう述べた。

「総じて、真面目なタイプが増えたかもしれません。自分で調べるということに慣れている気がします。その分、調べられる範囲で自己完結してしまう部分もあるので、もっと考えてみてほしい、という社員もいるのではないでしょうか。」

宮本様もこう続けた。

「OJTトレーナーからの定期的な報告を見ると、最近の新人には、もっと元気に自分を出してくれたらいいなという声は確かによくありますね。総じて真面目に取り組んでいる一方で、失敗したらだめだという思いが強いのかもしれません。
背景には、自分が新入社員のときに比べ、担当していることが高度になっていることもあるように感じています。OJT側も、じっくり教えるというより早く育てよう、経験させてあげようとしているように思いますね。数年前から新人配属の人事発令から丸二年で必ず異動がかかるようになったので、その影響もあるのかもしれません。」

新人のタイプが変わり、また時代そのものが変わり行く中では、育成の方法もそれに適したものに改良していくことが必要だ。今後のトライアンフに対する期待について宮本様に伺うと、このようなお答えを頂くことができた。

「入社前の研修で意識付けをし、その後約1年後にフォローをする流れはとてもよいと思っています。今もやってくださっていますが、当社の現状課題やイマドキの新入社員はこうだからこのような進め方・カリキュラムがいいと、工夫して組んでくださることはありがたいと思っていますし、今後も時代の変化に応じた形で企画いただければと思っています。」

また、松浦様にも下記のように暖かいお言葉を頂いた。

「入社前から一年間採用・育成のフォローをしていただけるのはありがたいです。いま研修で入社前日とその一年後でお世話になっていますが、外部の方だからこそ言っていただけることとか、厳しいご指摘が学生・内定者・新入社員に響いていると思います。」

入社前研修とフォローアップ研修という重要な機会でお手伝いをする以上、今後もトライアンフならではの価値を惜しみなく提供し続けたい。

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